作/池井戸潤
仕事を早めにリタイヤして第二の人生に田舎暮らしを選んだ人々を取材する ❝ 人生の楽園 ❞
衛星写真で見るポツンと一軒家を探す ❝ ポツンと一軒家 ❞
どちらも中高年に人気のTV番組です。
都会とまではいかなくても、街なかで暮らしているといつか田舎暮らしがしてみたいと思うのでしょうか。
豊かな自然。
ゆったりと流れる時間。
人情味あふれる地元の人々との交流。
自分で作った野菜。それを材料にした料理。自分で改造する古民家。どんどん健康的になっていく自分。
流行なんて気にしないナチュラルな自分が好き。
そういう理想は別に悪くはないです。
でも、TVでは良いところしか映しませんからね。
人間、生きていればゴミも出すし、汚水も流します。騒音も出します。病気にもなります。
それは迷惑をかけるかもしれない、と言うことです。
田舎は助け合いが前提なので、迷惑をかけるだけの人はいらないのです(都会でも一緒か)
今期のゴールデンタイムのドラマで都会から離れて田舎暮らしを始めた若い男を主人公にしたドラマが奇しくも2本登場しています。
ストーリーや俳優に惹かれてではなく、都会のもやしっこの代表、文系男子の田舎暮らしが観られるので2作品とも観ています。
彼らはどう生きるか
流行りのアニメふうに言ってみました。
そういう見方。
ハヤブサ消防団では、空き家になっていた田舎の父親の実家を相続した小説家が主人公(演/中村倫也)
中村さんは体格は並で声が柔らかい(エモい、というのでしょうか)芸術家っぽい役のお似合いの俳優さんです。
小説家なので、都会に住む必要もありません。
住む前にいきなりバルサンを焚きだします。フフ、わたしも2年以上放置していた夫の実家に住むにあたってやりましたよ。彼はかなり虫嫌いのようです。ウチはダニ退治でした。
小説家の彼の実家はムカデの多いお宅のようで、その後もワーワー言いながら殺虫剤スプレーを手放しません。渦巻蚊取り線香も点けていましたね。
庭を手入れしたり、一人で荷ほどきをしたり。
そういうのをずっと観てるだけでもいい(わたし的感想)
ウチは夫が勤めに出ている間に、ほぼわたし一人でやりましたからね。人のやるところが見たいのです。特に男がやるところが。
荷物を家に入れただけで、引っ越し完了だと思っとる。(今頃思い出してハラ立てているのですから、旦那さんたち、亡くなっても恨みは残ることをお忘れなく)
一方、❝ばらかもん❞は五島列島のどこかの島に移住した、プライドの高いヘタレ男の書道家(演/杉野遥亮)が主人公。
引っ越し業者に庭に荷物を放置されて行かれてしまいます。
彼にとって都合のいいことに、島中の人達が入れ代わり立ち代わり手伝いにきてくれます。
そして、子供たちが遊び場として居座ります。
入らないように鍵を閉めても、床下から侵入。
1人にしてくれーと叫びますが、お構いなし。
子供たちは大賞を取り損ねたこともズケズケと指摘。
一方、島民の大人たちもプロの書道家に気軽に文字を書いてもらおうとしたりもします。
漫画では、彼はやがて世話になっているばかりでお返し出来ていない自分に気付くのです。
原作漫画をすでに読んでいて、このヘタレ書道家がちょっとずつ島になじんでいく過程が好きなので、このままユルユルと行ってほしいです。
田舎の古民家に住むことはまず、生きていくこと。
快適に住むためにそれなりの手入れが必要なこと(実感)
わたしがもっとも好きな田舎移住生活を描いたのは細田守アニメ映画の ❝ おおかみこどもの雨と雪 ❞ です。
主人公の女性は子供たちの正体を隠すため、田舎の古い一軒家に住むのですが、まず、小さい子供づれの女の田舎の暮らしは容易ではありません。
やがてお爺さんと知り合ったことがきっかけで、村人たちと仲良くなり野菜の栽培法などを教えてもらえます。あれこれ植えずに、1点にしぼって栽培。収穫したら必ず近所におすそ分けをしなさい、という助言をもらったところは好きな所。
彼女は素直な性格なため、村人たちの教えはちゃんと聞きます。
野菜をあげると、お返しに別の野菜をもらえる農村あるあるです。