昔、通販で人形を買ったら、間違ってモンローちゃん人形が届き、娘がモンローちゃんのおねだりに次々とドレスや靴を貢ぎ出す、という漫画があった。娘は5万の毛皮が買えなくて止めたが、お父さんがモンローちゃんの世話を引き継ぐというオチだった…健太郎人形あったらどうする
— toyoda 順子 (@1VjUwrZ2gS7Q8hc) 2022年9月13日
ひと月まえにこんなtweetをしました。
そのあと気になって色々検索してみました。
まず、この話けっこううろ覚えで正確ではありませんでした。かなりわたしが脚色していました。言うなれば、toyoda順子風味がついていました。訂正します。
この話は一万十秒物語というタイトルで1970年代に白泉社から出版された漫画短編集の中の1作です。
作者は倉多江美さん。ジャンルはギャグ・コメディー。
少女漫画誌LaLaで連載していた一万十秒物語のうちの1作。
タイトルはモンロー人形。10Pの短編です。
以下ネタバレ。
娘が人形メーカーの新発売の人形、モンローちゃんを欲しがります。
母親は何かいやらしさを感じてダメと言いますが、父親がいいじゃないか、と言って買ってあげるのです。
そう、モンローちゃんは子供の心だけでなく、男ゴコロもつかむのです。
娘は友達にセクシー衣装しか持ってないことを指摘され、また母親におねだり。
「わたし、お洋服がほしいの」チラシのモンローちゃんがおねだりします。
毛皮、靴、バッグ、ネックレス、別のドレス。
それが配達されて来ると、また一緒にチラシが入ってきます。
今度はモンローハウス。次に台所セット。バスセット。次々おねだりしてきます。
母親がついにキレてしまい、娘もやっとあきらめます。
この話にはクスッと笑えるオチがあります。
倉多江美さんの漫画は風刺と言うわけではなくて時代を切り取って笑わせるコメディーです。
アメリカの人形って、日本の人形と違って妙に大人っぽいと感じたこと、ありませんか。
そして、着せ替え人形は本体を買っただけでは完結しません。そもそも “着せ替え” とうたっています。オプションが欲しくなる様に出来ています。数着の着替え。お家。家族。友達。ボーイフレンド。
チラシとはいえ人形がおねだりするシステム。相手はセクシーなモンローちゃん。
この漫画、数多ある少女漫画の中で、わたしの記憶に妙に残っているのです。
娘がお友達に言う言葉がふるっています。
「ああいう娘はね お金がかかって とてもわたしの 手におえないの」
倉多江美さんの十万十秒物語は白泉社の他にちくま文庫からも出ていて、レンタルでも、通販サイトでも買えるようです。