シナリオ始めました

初めてシナリオ書きました。誰かに読んで貰いたいので、ブログで公開します

二人の料理人 前編(全3部)

二人の料理人    作/toyoda順子


〇登場人物
横浜武蔵 出張料理人 ジャンル・和食
伊藤小次郎 ユーチューブ料理人 ノンジャンル 
戸梶 小次郎の仕事仲間

登美子夫人 武蔵に出張料理をたのむ 虎好き
スミたん 小次郎の彼女 

キッチンドラゴンディレクター
キッチンドラゴンMC
鈴木 キッチンドラゴン挑戦者

味沢良一/和食 キッチンドラゴン審査員(子役)
MAXキャッホー/洋食 キッチンドラゴン審査員
Watabe ken/グルメ評論家 キッチンドラゴン審査員

 

二人の人     

 

〇山の麓 ガラガラのキャンプ場

ソロキャンプをしている若い男。夜も更けて焚き火に薪を追加、ハーモニカを踊りながら吹きだし、更に謎の部族ダンスを踊りだす。ビールを開け、IKKO、桑田佳祐梅沢富美男のモノマネをひととおりやりつくして満足し、ボイスパーカッションの練習を始める。めちゃくちゃ下手くそ。

 

横浜武蔵(ソロキャンプの男)「さて、宴もたけなわとなりましたがソロソロお開きといたします」

 自分で言って火を消し、テントに入る。寝ようとして、

武蔵「ぎゃあああ!(大絶叫)」

 見知らぬ全裸の男が抱きついて来たのだ。

武蔵「誰だぁーお前!」

伊藤小次郎(裸の男)「さむい~」

武蔵「服を着ろぉぉ」

小次郎「服を下さ~い」

武蔵「出てけぇ~」

小次郎「助けてぇブルブル~強く抱いて… 」

武蔵「気色悪い事を言うなぁぁー」

小次郎「さっきあんなに楽しそうだったじゃないですかぁ… 一人なのに」

武蔵「聞いてた?」

小次郎「ハーモニカの所から」

武蔵「証拠隠滅!(小次郎の首を絞めようとする)」

小次郎「やめてー」

武蔵「うお… 」

 更に抱きつく小次郎。首をクキっと落とされ失神する武蔵。くんずほぐれつのまま就寝。

 

〇キャンプ場 翌朝

 服を借りて着ている小次郎。テントから這い出してきた武蔵。

武蔵「クソ、あんな状況なのに寝てしまった(首をひねる)」

小次郎「おはよう。昨日のお礼に味噌汁作ったYO」

 味噌汁をさしだす。

武蔵「俺の材料だがな」

 受け取った武蔵は飲んでホウという顔。

武蔵「服はどうしたんだ、何で全裸だったんだ」

小次郎「全裸野球って知ってる?」

武蔵「聞いた事がないな」

小次郎「選手が全員全裸なんだ。なのに(クスクス笑う)帽子とスパイクだけ履いてんの、帽子ないとどっちのチームか分かんないでしょ」

武藏「スパイクは」

小次郎「ケガするからね」

武藏「いや、それならユニフォームも着ないと」

小次郎「でも監督も全裸なんだよ」

武藏「ああ、全裸監督… 何だこの話!」

 二人で崖下に落ちているビリビリのパンツを拾う。

 更にその少し上に千切れたTシャツが枝に引っかかっている。

 崖の途中、あちこちに引っかかっている服。

 崖上にはジャケットがボロボロの状態で落ちている

 クマ出没の立て札。

武藏「… 」

 

〇武蔵想像(紙芝居風の絵):

 クマにビックリして崖から転げ落ちるヘタ絵の小次郎。岩にジャケットが引っかかる。「うわー」

 途中木の枝にネルシャツが引っかかり、破れる。「うわー」

 更に転げ落ちながらドンドン服が脱げていくヘタ絵小次郎。「うわー、うわー」

 

〇想像戻り

小次郎「全裸野球チームで町に繰り出して飲みに行った。女の子達にモテモテだったんだ、女子も含めて全員裸でお酒飲んでべろべろに酔っ払って… あれは夢だったのかな」

武藏「かなり早い段階で夢だな」

小次郎「お礼したいんだけど」

武蔵「いいからとっとと帰れ」

小次郎「やだクールな男、あんな馬鹿みたいなモノマネしてたくせに」

武蔵「うるせえ!こっちは一人が好きでここに来てるんだよ」

小次郎「そうだよね一人じゃなきゃあんな恥ずかしい真似できないもんね」

武蔵「殺す!」

 首を絞める。

小次郎「分かったよ、帰るから。服、洗濯して返すから住所おしえて」

武蔵「お前には教えない」

小次郎「そんな、夕べは抱いたり抱かれたり。主に俺が抱いたんだけど」

武蔵「妙なことをいうなぁ」

 このやり取りが延々と続き次第にフェードアウト。

 

〇数日後 街中

    

 街中で偶然、武蔵を見かける小次郎。

 小次郎「おーいイケメンくーん」

 20人位が気取って振り返る(ブサイク混じり)が武蔵は知らん顔。

小次郎「イケメンくんってば」

武蔵「そんな名前で俺を呼ぶなぁ」

小次郎「ほらほらオレオレ、この前キャンプで味噌汁飲ませてやった俺」

武蔵「普通、世話になった事のほうを言わないか」

小次郎「抱いたり抱かれたり」

武蔵「二度と声をかけるんじゃねえ」

 無視してずんずん行こうとする。

小次郎「服、おじちゃんが服買ってあげるから」

 小次郎、武蔵の手首をつかむ。

小次郎「プリティーウーマン♪」

武蔵「自分で歌うんだ… 」

    ~バックに流れる小次郎が歌うプリティーウーマンの曲♪

 お店で服を選ぶ小次郎。武蔵に服をあてる。何軒かはしご。

小次郎「俺んちそこだから」

 マンションを指す。袋を大量に抱えた武蔵がついて来る。

 

〇マンションの中 小次郎の部屋

 武蔵を部屋の中へ案内。デッカいキッチン、撮影用機材。

 早速武蔵は調理道具をチェック。

武蔵「ううむ、手入れは悪くない」

 指で埃をチェック。

小次郎「お姑さんか!」

武蔵「貴様は何をする人だ」

小次郎「おいおい口が悪いなイケメンくん」

武蔵「その名で呼ぶな恥ずかしい」

小次郎「お料理YouTuberなんだ」

武蔵「それは職業として成り立つのか?」

小次郎「うん、こんなマンションにも住めるし」

武蔵「俺は出張料理人 横浜… ベイスターズファンの」

小次郎「名前は?」

武蔵「横浜… 銀蠅どうしてるかな」

小次郎「名前!」

武藏「横浜武蔵だ。武蔵様もしくは兄貴、先生と呼べ」

小次郎「うわぁ… ドSキャラ、俺伊藤小次郎」

武蔵「小次郎って… フッ俺の勝ちだな」

小次郎「負けてないよ、横浜なんてだせえ名前のくせしやがって…チクショウ何か悔しい」

武藏「同業者か」

小次郎「何か作ってよイケメンくん」

武蔵「俺のさっきのセリフは独り言か?」

 ずかずかと冷蔵庫を開けて中をチェック。料理を作り出す。撮影しだす小次郎。

小次郎「和食だね、もう美味しそう」

武蔵「伊藤は?」

小次郎「行き当たりばったりだけど」

 武蔵が小次郎の胸倉を掴む。

武蔵「日々精進してる俺が家もないのに、そんないい加減な奴がこんないい所に住んでんのか!」

小次郎「ソロキャンパーかと思ったらお家のない人だったんだ… なんなら泊ってく?」

武蔵「お前不用心だぞ!見も知らない男を泊めるなんて」

小次郎「じゃあ帰って見も知らぬ人」

武蔵「(自分のリュックを見て)いやそこまで言うなら泊まってやってもいいが」

小次郎「面倒くせぇぇぇぇ」

 

〇同 明け方

 全裸で眠る小次郎。周りに服が散らばっている。起きてそれを見て納得する武蔵。眠りながら服を取ろうとする小次郎。手が届く直前に更に遠くへ押しやる武蔵。薄笑い。

 いきなり武蔵の後ろから抱きつく小次郎。

小次郎「服を下さ~い」

武蔵「裸で抱きつくなぁー!」

小次郎「寒いよぉ」

武蔵「分かった!俺が悪かった」

 いつまでも繰り返し。

〇同 朝

 朝ご飯を用意する小次郎。味噌汁を飲んで納得する武蔵。

武蔵「味噌汁は旨い」

 いきなり部屋に入ってくる戸塚。

戸塚「ハーイ撮影始めるよぉ(武蔵を見て)誰?」

小次郎「俺の味噌汁大好き男、食い物で男釣っちゃった」

戸塚「ほーら小次郎の男癖が始まった」

武藏「何!」

戸塚「僕も味噌汁頂戴。癖になるよね小次郎の味噌汁」

小次郎「魔法の粉入ってるから。法に触れないギリギリのやつ、ガハハハ」

 味噌汁を吹き出す武蔵

武蔵「おまえら真実だけを喋れー」

 豊洲で買って来たブリを取り出す戸塚。覗き込む武蔵。

武蔵「目利きは悪くない」

 二人でキャッキャッキャッふざけながら器用に切り分けた後、ベビースターラーメンを砕いて貼り付け油で揚げている。

 太鼓を叩く戸塚。

 隣の住人が入って来る、

隣人「毎日毎日やかましいぃ」

 血まみれの包丁と3人の若い男を見て

隣人「と、言うヤツがいるかもしれないから注意しろ(ぺコパの松陰寺風に)」

 静かに帰って行く隣人。

武蔵「ここのセキュリティーはどうなっているんだ、にしても何じゃあその料理はぁ!」

 怯えた表情の二人。

小次郎「駄目ですかぁ!?」

武藏「ブリが台無しじゃねぇかぁー!貸せバカやろ」

 取り上げてブリを調理しだす。

 

暗転:

 調理されたブリを不満そうに見下ろす小次郎と戸塚。

小次郎「ただのブリ大根だよね」

武蔵「食べてみろ」

二人「美味しい」

武蔵「どうだ」

小次郎「いや知ってるけどそう言う事じゃなく、どうせ味は伝わらないんだし、料理はエンターテイメント、面白可笑しく…」

武蔵「やかましい!料理とは食材に捧げる愛だ!貴様とは相容れん様だな」

戸塚「何か面倒くせぇぇ」

武蔵「帰る」

二人「どうぞどうぞ」

 太鼓を連打する戸塚。

 一旦出て行った後、戻ってくる武蔵。

武蔵「もう1日位泊まってやってもいいぞ、それから不用心だぞお前ら、玄関かっとけ。オートロックどうした」

 ひっくり返る二人。

テレビ:勇壮なカッコイイ音楽

全国料理人コンテスト 審査員 和食ミスター味っ子板長(味沢良一) 洋食(たいめいけん三代目 MAXなんちゃら) グルメ評論家(Watabe ken)

ナレーション「全国料理人のトップを決める料理人の祭典、集え料理人共!」

 その声をバックに電話に応じる武蔵。

武蔵「はい、はい、分かりました」

 二人を見て

武蔵「仕事が入った」

中編に続く