シナリオ始めました

初めてシナリオ書きました。誰かに読んで貰いたいので、ブログで公開します

二人の料理人 中編(全3部)

二人の料理人       前編続き

武蔵「仕事が入った」

小次郎「仕事って必殺仕事人?」

武蔵「出張料理人!何だ必殺って、お前が切られたヤツじゃねえか」

小次郎「見たい見たい~、付いて行く」

武蔵「付いてくんなー遊びじゃない!」

小次郎「イイじゃん、弟子たちとして付いて行くから」

武蔵「たち?二人共付いて来る気か!その下っ端感満載のそっちの男は兎も角」

 戸塚を指した後、小次郎を見て、

武蔵「貴様はいかにも金持ちの馬鹿のボンボン… 」

二人「うわぁ… 口悪い、失礼しちゃうわ」

 

〇同 夜

小次郎「ゆ、赦して… 」

 寝言で謝る小次郎。

 それを聞いている武蔵。

武藏「お前も何か辛い事があるんだな」

小次郎「ごめんなさい」「赦してください」

 小次郎を抱きしめる武蔵。

武藏「俺は赦すぞ」

小次郎「うう、すみません(泣く)」

武藏「… 」

小次郎「ごめんなさい… 」

 

武藏「うるせえぇ!そんなに謝っても赦してくれないならもう、なぐっちまえぇ」

 うなされてピクピクする小次郎。

 

〇翌朝

 全裸で眠っている小次郎。

 

武藏「だから何でだあ」

 

〇同日 相模家(大邸宅)

 板前姿の武蔵。

 Tシャツにジーンズ前掛け、和風バンダナ姿の二人を従えてやって来た。

登美子夫人「本日は宜しくお願いしますね」

小次郎「オ~お美しいマダム(見つめる)」

小次郎、武蔵に叩かれる。武蔵、献立を出し、

武蔵「いいな、俺の言う通りにやって貰うぞ、まず戸塚は里芋をむく、小次郎は魚を捌く」

戸塚「うわぁこれ一人でやる積もりだったの」

武蔵「いつもはな。お前らを信用して任せるんだから失敗したら指切り落とす」

戸塚「ひ、ひーリアル指切りげんまん」

小次郎「いや、リアルなら本物の針を千本飲まされるんだよ」

戸塚「そうかあ、指ぐらいなら死なないけど、針千本は死んじゃうもんね」

 笑いあう二人。

 気がついて急にソワソワし始める。

武蔵「会食は1時始まり、焼き方小次郎、煮方戸塚、一同始めい!」

 アタフタ始める二人。

小次郎「恐ぇぇ、楽しくねぇぇぇ」

 


〇同屋敷内 午後1:00 

 美人社長、美人棋士、美人女将等、総勢美人十人のマウント会食が始まる。美人の暑苦しさにひと息ついた二人は勝手に屋敷を散策。

 

〇剝製部屋

小次郎「この虎の剝製リアル~」

戸塚「それ、剝製じゃないよ小次郎」

 剥製が動き出す。

 屋敷から飛び出して絶叫する小次郎。戻って来て虎に顔を舐められる。

小次郎「ご飯を作りに来たのに自分がご飯になる~」

戸塚「うまいうまい」

小次郎「うまいじゃねえわ、室内で虎飼うなら言っといてよね」

 小次郎、鳥の剝製を放り投げ、

小次郎「それ、トラ、取りにいけー」

 虎、鳥を追いかけて行く。

戸塚「雑。それに絶対トラって名前じゃないし」

 戸塚が後ずさり。

 高そうな壺を取り落としそうになり小次郎がキャッチ。

小次郎「セーフ」

 その拍子に襖を蹴破り鎧を破壊。

小次郎「… そうでもなかった」

 やって来た武蔵。

武蔵「休むなぁー、とっとと片付けろ!」

小次郎「師匠、師匠!」

 武蔵の裾を掴む小次郎。

武蔵「何だよ急に師匠だなんて(照れる)」

小次郎「弟子の失敗は師匠の失敗だよね」

 破壊された部屋を見て絶叫しそうになり戸塚に口を押えられる武蔵。

 武蔵、一旦外に出て絶叫、また戻ってくる。

 

戸塚「トムとジェリーでこんなシーンあったね」

 

〇同 会食後

 後片付けが終わって夫人から心付けを貰う三人。

夫人「美味しかったわよ。ご苦労様」

 手を握り返す小次郎。武蔵に頭を叩かれる。

小次郎「僕に気があるかと思って」

武蔵「目線合ったら惚れてると思うな!壊したのバレない内にけえるぞ」

二人「へい!」

 物凄いスピードで撤収する三人。

小次郎「これってギャラいくら?」

武蔵「30万円、うち材料費25万円」

小次郎「割に合わねえぇぇ」

 遠くでぎゃあぁぁと言う悲鳴が聞こえる。

 小次郎が気にして振り返る。

武蔵「放っておけ、あんな虎なんか飼ってるような女」

戸塚「ムチャクチャだあぁ」

 

〇同日 小次郎マンション

YouTube番組厨房小次郎

:

小次郎「今日は武蔵の付き合いで買い出しに行く暇なかったんですが、材料ならあります!」

 伊勢海老や鯛の頭を示す

小次郎「武蔵の馬鹿が材料費に25万も掛けやがったのでこんなに豪華な余り物が!伊勢海老1尾8000円ですよ、馬鹿じゃな~い。まず鯛のアラを焼いときます」

小次郎「続いて伊勢海老のミソ入り味噌汁」

武蔵が味見して「うーむ、お前至上一番旨いぞ」

小次郎「やだ褒め上手」

小次郎「でアラで炊いた鯛飯、庭からパクって来た三つ葉をぱらりと」

武蔵「まともな料理出来るじゃねぇか!」

小次郎「更に武蔵の作った突き出し3点、師匠天才、綺麗、映え~」

武蔵「つまみ食い程度ならともかく勝手にお持ち帰りするなぁぁ」

小次郎「美人バイオリニストにくれって言ったらくれたの、結構キュート。気の強い女好き」

武藏「あの虎より気の荒いあの女に… お前すごいな」

戸塚「僕も美人女医にお菓子貰った、いい匂いした。百回抱ける」

武藏「あのスタイルだけ無駄にいい、失礼な女か。このドMやろうども。おまえらセンスがおかしい」

小次郎「武蔵くん、余興のボイパがドン引きだったからね」

戸塚「あんなに騒がしかった美人会がシーン」

小次郎「練習の成果出ず、ウフフ」

戸塚「イヒヒ」

小次郎「けけけ」

戸塚「カカカ」

 悪代官と三河屋みたいに笑う二人。

 

武蔵「うわーん!」

 それを試聴しているテレビ局の人。

 

〇同 夜

 小次郎の彼女がやって来る。

 両手を広げて出迎える小次郎。抱き合う二人。

武藏「貴様、修行中の身で女がいるのか!?」

小次郎「そりゃいるよう。女もいなくて何の為に生きてるんだよぉ」

武藏「百年早いわ!」

小次郎「いや、百年も経ったら遅いけどね… 」

 くっつくカップル。

戸塚「じゃあ僕はこれで」

 帰る戸塚。カップル二人の視線が武蔵を射抜く。

武藏「さあて疲れた。寝るかな」

小次郎「武蔵、今日はどっか泊まったら」

武藏「いや俺は大丈夫、一度寝たら何があっても絶対起きないから」

 あくまでも言い張る武蔵。

小次郎「しょうがないなぁ」

 彼女が無言で小次郎をボカボカ叩く。

 

〇同 夜中

 とっとと眠ってしまう小次郎。

スミ(彼女)「ってお前が寝るなぁ!」

 同じベッドで小次郎の頭をはたく彼女。

 隣の部屋で壁にコップを当てて聞いている武蔵。舌打ち

 

〇同 翌朝

 例によって全裸で眠る小次郎。

スミ「何もしないくせに何で裸だぁ!」

 小次郎のケツを叩く彼女。

小次郎「ううん…」

 寝ぼけながら彼女を抱き寄せる小次郎。いきなりドアが開いて武蔵が

武藏「朝飯は和か洋か」

 二人の様子を見て

武藏「お前ら朝派か!」

小次郎「朝派って何だよう。デリカシーの欠片もないな!スミたん味噌汁だよね」

スミ「うるっせえ」

 頬を平手打ちされる小次郎。思わず横を向いて噴く武蔵。

 スミは帰ってしまう。

武藏「無口でなかなかワイルドな彼女だな」

小次郎「何もしてないのに!」

武藏「何もしないのがマズイのだ、女に恥をかかせるな。一晩中耳をすませてた俺の身にもなれ!」

小次郎「そうか、お前一晩中耳をすませてたのか」

武藏「そうだよ」

小次郎「堂々と言うなあ」

武藏「(せき払い)取りあえず服は着たらどうだ」

小次郎「ドレスコード?」

武藏「ちがーう、何で平気なんだ全裸で」

 

暗転:

武藏「ところでキッチンカーを借りたんだが、手伝わないか」

 壁に貼ってある小次郎の調理師免許をチラと見る。

小次郎「いいよ、何作るの?」

武藏「芋煮だ、看板も用意した」

 武蔵(いい男風)と小次郎(バカ風)、戸塚に至っては猿の似顔絵が添えられて、

"俺たちの芋煮"と書いてある。

小次郎「もう俺たち手伝うの前提じゃん」

武藏「先に野菜は切っておくからな、手伝え」

 いつの間にか野菜が準備されている。

小次郎「部屋を乗っ取られる~」

 戸塚もやって来て一緒に手伝わされる。

 


〇キャンプ場

 出店をする3人。女子の行列が出来ている。

 人気に浮かれる3人。女子がワーキャー騒いでいる。

戸塚「(嬉しそうに)もうないよ」

武藏「魚釣ってこい、女どもを逃すんじゃねえ」

戸塚「山賊ですか、あんた」

 小次郎は勝手に"武蔵のものまね一回1000円"と看板を出している。

武藏「おい!」

小次郎「じゃあボイパにする?」

武蔵「すみません許してください」

D「君達」

 3人が振り返る。

D「厨房小次郎の人だよね」

小次郎「あい」

D「今度料理人頂上決戦って番組をやるんだが出ないか?」

武藏「断る!」

 即答する武蔵。

 断られるとは思わなかったテレビディレクター。

D「いやあのチームイケメンで出て貰いたいんだが」

武藏「顔関係ないだろ!」

戸塚「俺出てもいいかな」

D「君はいいかな」

戸塚「… ぇぇー」

小次郎「賞金いくら?」

D「25万円」

小次郎「武蔵、部屋借りられるよ」

武藏「ううむ」

D「審査員はミスター味っ子さんですよ」

小次郎「あの?キャー出る出る」

武藏「いややるなら俺はこいつと対決したい」

 小次郎を見る。

小次郎「え、俺?いやだぁお、小次郎武蔵じゃ俺負けるの決定じゃん」

D「巌流島か悪くないか」

小次郎「俺は嫌だぁ負けるからぁー」

武藏「ホウ貴様自信がないと、勝負の前から逃げ出すヘタレだと」

小次郎「いや、そう言う訳じゃ」

武藏「美人女子アナに会いたくないと」

小次郎「会いたいに決まってるし。会いたくない男いねぇし、何なら女優より好きだし」

武藏「スミたんは」

小次郎「お前がスミたん言うな。ス、スミたんには見られない様にする」

二人揃って「女子アナ出るんだろうな!」

D「ぺーぺーの男性アナの積もりだったけどベテランの女子アナにするから」

二人「いやそこはベテランじゃない方が」

 

戸塚「あんた達… 」

後編に続く